11.6 生物学的アプローチ

11 性格

学習目標

  • ミネソタ双生児研究で得られた知見を、性格と遺伝に関連して説明する。
  • 気質について議論し、ThomasとChessが特定した3つの幼児気質を説明する。
  • 進化論的観点から見た性格形成について議論する

私たちの性格のうち、どのくらいが生まれつきの生物学的なもので、どのくらいが育った環境や文化の影響を受けているのでしょうか?生物学的アプローチを支持する心理学者は、遺伝する素質や生理学的なプロセスを用いて、私たちの性格の違いを説明できると考えています(Burger, 2008)。

性格形成に関する進化心理学では、普遍的な性格特性と個人間の差異に注目します。この考え方では、適応的な差異が進化によって、生存や繁殖に有利になっていると考えます。進化の観点から個人差が重要なのは、いくつかの理由があります。ある種の個人差と、その特性の遺伝性については、よく知られています。David Bussデイビッド・バスは、このような性格特性と進化の関係を探るために、いくつかの理論を提唱しています。例えば、生活史理論life-history theoryは、人々がどのように時間とエネルギー(身体成長とその維持、生殖、子育てなど)を費やすかを調べます。また、人が仲間や友人としての資質について互いに送るシグナルの正直さと偽りを検証するコストリー・シグナリング理論costly signaling theoryもその一例です(Buss, 2009)。

行動遺伝学の分野では、1979年から1999年にかけて、ミネソタ双生児研究(Minnesota Study of Twins Reared Apart)という双子を対象とした研究が行われています。一卵性双生児と二卵性双生児のペアを含む350組の双子を調査した結果、一卵性双生児は一緒に育っても離れて育っても、非常によく似た性格をしていることがわかりました(Bouchard, 1994; Bouchard, Lykken, McGue, Segal, & Tellegen, 1990; Segal, 2012)。これらの知見は、いくつかの性格特性の遺伝性を示唆しています。遺伝率heritabilityとは、人の違いが遺伝に起因する割合のことです。今回の研究で、遺伝率が0.50以上であると報告された特性には、リーダーシップ、権威への従順さ、幸福感、疎外感、ストレスへの耐性、恐怖心などがあります。つまり、私たちの性格の一部は遺伝によって大きく支配されているということです。しかし、形質は単一の遺伝子ではなく、多くの遺伝子の組み合わせや、遺伝子が発現するかどうかを制御するエピジェネティックな要因によって決定されることを指摘しておく必要があります。

性格と他の要因との関連性を調べた他の研究では、タイプAとタイプBの性格が特定され、研究されています。これらについては、第14章で詳しく説明します。

学習のためのリンク

遺伝的性質が性格に与える影響についての動画(英語)

気質

現代の心理学者の多くは、気質が人生のごく初期に現れることから、これには生物学的な根拠があると考えています(Rothbart, 2011)。ThomasとChess(1977)は、赤ちゃんが「手がかからないeasy」「手がかかるdifficult」「順応に時間がかかるslow to warm up」という3つの気質のいずれかに分類されることを発見しました。とはいえ、環境要因(例えば、家族間の相互作用)や成熟度は、子どもの個性の表現方法に影響を与えることがあります(Carter et al., 2008)。

研究によると、気質には、大人になってからの性格の重要な部分である、反応性と自己制御の2つの側面があるとされています(Rothbart, Ahadi, & Evans, 2000)。反応性reactivityとは、新しい環境刺激や困難な環境刺激に対してどのように反応するかということであり、自己制御とは、その反応をコントロールする能力のことです(Rothbart & Derryberry, 1981; Rothbart, Sheese, Rueda, & Posner, 2011)。例えば、ある人は新しい刺激にすぐに強い不安を抱いて反応しますが、別の人はそれにほとんど気づかないことがあります。

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