11.1 性格とは何か?

11 性格

学習目標

  • 性格を定義する
  • 性格形成に関する初期の理論を説明する

性格personality(人格)とは、個人が常に特定の方法で考え、感じ、行動するための長年にわたる特徴やパターンのことです。性格は、私たちを唯一無二の存在にしています。人はそれぞれ、他の人や周囲の世界との関わり方について、永続的かつ長期的な特徴やその人に特有のパターンを持っています。私たちの性格は、長期的で安定しており、簡単には変化しないと考えられています。性格(personality)の語源は、ラテン語のペルソナ(persona)です。古代では、ペルソナとは役者がかぶる仮面のことでした。仮面というと、自分の正体を隠すためにつけるものと思われがちですが、演劇用の仮面は本来、登場人物の特定の性格特性を表現したり、投影したりするために使われていました(図11.2)。

Three masks are arranged side by side. The masks are almost identical, but with slightly different facial expressions resulting from the masks being at different angles. The first mask is tilted downward and has downcast eyes. The second mask is shown straight on and is directing its gaze slightly higher than the first. The third mask is tilted upwards so its gaze is directed more upward.
図11.2 楽しい、悲しい、せっかち、恥ずかしがり屋、恐がり、好奇心旺盛、親切。あなたの性格を表す特徴は何だろうか?

歴史

性格という概念は、少なくとも2,000年前から研究されており、紀元前370年のヒポクラテスに始まります(Fazeli, 2012)。ヒポクラテスHippocratesは、人間の性格や行動は、4つの体液(humor)に関連する4つの気質に基づいていると説きました。4つの気質は、それぞれ黄胆汁質(肝臓からの黄色い胆汁)、黒胆汁質(腎臓からの黒い胆汁)、多血質(心臓からの赤い血液)、そして粘液質(肺からの白い痰)です(Clark & Watson, 2008; Eysenck & Eysenck, 1985; Lecci & Magnavita, 2013; Noga, 2007)。

数世紀後、ギリシャの有力な医師・哲学者であるガレノスGalenは、ヒポクラテスの理論を基に、病気や性格の違いは体液の不均衡によって説明でき、各人は4つの気質のいずれかを示すと提案しました。例えば、黄胆汁質の人は情熱的で野心的、大胆であり、黒胆汁質の人は控えめで不安、不幸であり、多血質の人は喜びに満ち、熱心で楽観的であり、粘液質の人は冷静で信頼でき、思慮深いとされています(Clark & Watson, 2008; Stelmack & Stalikas, 1991)。ガレノスの理論は1,000年以上前から普及しており、中世まで続いていました。

1780年、ドイツの医師Franz Gallフランツ・ガルは、頭蓋骨のこぶの間の距離によって、その人の人格特性、性格、知能がわかると提唱しました(図11.3)。Gallによると、この距離を測ることで、その下にある脳の領域の大きさがわかり、人懐っこい人、高慢な人、人殺しの人、親切な人、語学が得意な人などの情報を得ることができました。当初、骨相学は非常に人気がありましたが、実証的な裏付けがないためにすぐに信用されなくなり、疑似科学の地位に追いやられるようになりました(Fancher, 1979)。

Photograph A shows the cover of the American Phrenological Journal circa 1848. Across the top it reads: “American Phrenological Journal.” Below that it says “Know thyself.” Below that is a picture of a human head facing left, with many pictures comprising the area where the brain is. Below the person’s ear it says “Home truths for home consumption.” The lines below that read: “1848,” “Vol. X, March, No. 3,” “O.S. Fowler, Editor,” “Phrenology, Physiology, Physiognomy, Magnetism,” “New York,” “Fowlers and Wells,” “Phrenological cabinet, 131 Nassau-Street,” and “Terms $1 a year, invariably in advance. Ten cts. a Number.” Photograph B shows a printed cartoon of a person in a chair with another person behind. There are three other people in the room, and the wall is decorated with various skulls. Below the picture it reads: “Drawn on Stone by E.H,” and “The Phrenologist.”
図11.3 人の頭蓋骨の面積を測定する疑似科学は骨相学として知られている。(a) ガルは、頭蓋骨のどの部分が特定の性格特性や特徴に対応しているかを描いたチャートを開発した(Hothersall, 1995)。(b) 1825年のリトグラフには、若い女性の頭蓋骨を調べるガルの姿が描かれている。

ガレノスの後の世紀には、他の研究者が彼の4つの主要な気質タイプの開発に貢献しました。最も顕著なのは、Immanuel Kantイマニュエル・カント(18世紀)と心理学者のWilhelm Wundtヴィルヘルム・ヴント(19世紀)です(Eysenck, 2009; Stelmack & Stalikas, 1991; Wundt, 1874/1886)(図11.4)。

Kantは、誰もが4つの気質のいずれかに分類され、4つのカテゴリーの間に重複はないというガレノスの意見に同意しました(Eysenck, 2009)。彼は、4つの気質のそれぞれから、その人の性格を表すのに使える特徴のリストを作成しました。

しかしWundtは、「感情的/非感情的」と「可変/不変」という2つの大きな軸を使って、性格をよりよく説明することができると提案しました。1つ目の軸は、感情の強いものと弱いもの(黒胆汁質と黄胆汁質、多血質と粘液質)を分けるものです。2つ目の軸は、変化しやすい気質(黄胆汁質と多血質)と変化しない気質(黒胆汁質と粘液質)を分けています(Eysenck, 2009)。

図11.4 ガレノスの4つの気質の理論から発展して、カントはそれぞれの気質を表す特徴語を提案した。後にヴントは、気質を2つの大きな軸で整理することを提案した。

Sigmund Freudジークムント・フロイトが提唱した精神力動的な性格観は、初めての包括的な性格論であり、正常な行動と異常な行動の両方を幅広く説明しています。Freudによれば、性や攻撃性に影響される無意識の衝動と、幼少期の性的関心が、私たちの人格に影響を与える力であるといいます。Freudには多くの信奉者がいて、彼の考えに手を加えて新しい性格論を生み出しました。新フロイト派neo-Freudianと呼ばれる理論家たちは、幼少期の経験が重要であるという点ではFreudに同意していましたが、性を重視することをやめ、社会環境や文化が性格に与える影響に焦点を当てました。Freudとその信奉者たちが提唱した性格観は、20世紀前半の性格論の主流でした。

その後、学習、人文主義、生物学、進化、特性、文化などさまざまな観点から、他の主要な理論が登場しました。この章では、これらのさまざまな性格観を深く掘り下げていきたいと思います。

動画で学習

性格に関するいくつかの心理学的視点の概要を紹介したビデオを見て、さらに学びましょう。

Video Lecture: Explain the Major Perspectives on Personality

アイキャッチ:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=795032

図11.3 (credit b: modification of work by Wellcome Library, London)

Access free at https://openstax.org/books/psychology-2e/pages/11-1-what-is-personality

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