4.1 「意識」とは何か?

04 意識

学習目標

  • 意識とは何かを理解する
  • 概日リズムが睡眠・覚醒サイクルの調節にどのように関わっているか、また概日サイクルがどのように乱れるかを説明する
  • 睡眠負債の概念について論じる

意識consciousnessとは、内的・外的刺激に対する認識のことを指します。内的刺激の認識には、痛みや空腹、喉の渇き、眠気を感じること、自分の考えや感情を認識することが含まれます。外的刺激に対する認識には、太陽の光を見たり、部屋の暖かさを感じたり、友人の声を聞いたりする経験が含まれます。

私たちは、日常的にさまざまな状態や段階の意識を経験しています。意識は、完全な意識から深い眠りに至るまでの連続的なものであると言えるかもしれません。睡眠sleepとは、身体活動が比較的少なく、知覚の度合いが低下している状態であり、覚醒時に休息するときとは異なります。覚醒状態wakefulnessは、高いレベルでの知覚、思考、行動を特徴とします。覚醒しているときや眠っているとき以外にも、人にはさまざまな意識状態があります。例えば、白昼夢、酩酊状態、麻酔による無意識状態などです。

また、医療用の麻酔薬を使って無意識の状態を体験することもあります。時には、目が覚めていても、周囲の状況を完全に把握できていないことがあります。仕事や学校の帰りに車を運転しているとき、運転中のことはあまり考えずにぼんやりしてしまったことはありませんか?意識していなくても、自動車の運転に関わる複雑な作業をすべて行うことができたはずです。こうした処理の多くは、心理的行動の多くと同様に、私たちの生物学的な側面に根ざしています。

生体リズム

生体リズムBiological rhythmsとは、生命活動の内部に存在するリズムのことです。女性の月経周期は、生体リズムの一例であり、身体的変化の反復的、周期的なパターンです。1回の月経周期は太陰月で約28日ですが、多くの生体リズムはもっと短いものです。例えば、体温は24時間の間に周期的に変動します(図4.2)。覚醒度は体温が高いほど、眠気は体温が低いほど高くなります。

図4.2 このグラフは、8人の若い男性グループの28時間にわたる体温の概日変化を示している。体温は、起きている間は上昇し、午後にピークを迎え、睡眠中は下降し、早朝に最も低くなる。

このように毎日繰り返される体温の変動パターンは、概日リズムの一例です。概日リズムcircadian rhythmとは、約24時間かけて行われる生体リズムのことを指します。私たちの睡眠・覚醒のサイクルは、自然界の明暗サイクルと連動しているため、最もわかりやすい例といえますが、心拍数、血圧、血糖値、体温なども毎日変動しています。概日リズムの中には、私たちの意識状態の変化に関与するものもあります。

生体リズムがあるとすれば、体内時計のようなものもあるのでしょうか。脳の中では、下垂体の上にある視床下部が、ホメオスタシスの主な中心となっています。ホメオスタシスhomeostasisとは、生体内でのバランスを維持し、最適な水準に保とうとする傾向のことです。

脳の時計機能は、視交叉上核suprachiasmatic nucleus(SCN)と呼ばれる視床下部の部位にあります。網膜にある光受容ニューロンの軸索が、光の量に応じてSCNに情報を提供することで、この体内時計を外界と同期することができるのです(Klein, Moore, & Reppert, 1991; Welsh, Takahashi, & Kay, 2010)(図4.3)。

図4.3 視交叉上核(SCN)は、脳の時計の役割を果たしている。網膜から投射された光の情報をもとに、時計の設定を行う。
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